kyuinn’s diary

読書感想を個人的につづるブログです。

17の巻~『No.1アナリストがいつも使っている 投資指標の本当の見方』

今回も前回に続き投資ネタです。

 

No.1アナリストがいつも使っている 投資指標の本当の見方

No.1アナリストがいつも使っている 投資指標の本当の見方

 

 

No.1アナリストがいつも使っている 投資指標の本当の見方 

著:吉野 貴昌

 

◆なぜこの本を選んだか

前回書いた通り、現在はは投資業務、特に個別銘柄の選別方法に関する研究を進めています。自分は大学生のときに個別銘柄投資を行っていたので、この本で述べられている指標には詳しかったのですが、使い方が腹落ちしていませんでした。

 

自分がTwitterでフォローしている運用業界の方がこの本を薦めていたので、読んでみることにしました。

 

 

◆本の感想および今後の実践について

 

この本の最大のポイントは、複数の投資指標を提案したうえで、景気の時期によって使い分けることを提案している点でしょう。 

 

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「No.1アナリストがいつも使っている 投資指標の本当の見方 著:吉野 貴昌」より引用

 

この図を見ることができただけでこの本の価値が十分にあるといえます。あとはなぜこの図が機能するのか、腹落ちさせるために残りの部分を読むということになるわけです。

 

それぞれの指標には注意点があったんですが、自分が気になったのは以下の点。

PBR は どう でしょ う か。 PBR は もともと 解散 価値 を 測る 尺度 です。 ところが、 リーマン ショック で デフレ( 土地 などの 資産 価格 が 下がっ て いく こと) が 進む と、 会社 が 持つ 資産( 純資産) の 価値 も 下がっ て いく こと になり ます。 将来、 純資産 の 価値 が 下がる と すれ ば、 PBR が 1 倍 を 割れ て い ても、 解散 価値 を 下回っ て いる とは 言え なく なり ます。 

 

投資 の 観点( 株主 側 の 目線) で 考える と、 ROE ばかり 重視 する のは 疑問 です。 投資家 は、 株 を 時価( 株価) で 買い ます。 この ため、 会社 の 純資産 に対する 利益 が どう で あろ う と、 株価 と 利益 から 見 た 関係、 すなわち PER が 重要 です。

 

ROEに関する記載はもっともでこの視点は頭から完全に抜けていたので、注意したいと思う。ではなぜこのような特徴がありながらもROEが重要なのかというと、高いROEを維持しているということは経営陣がリターンを出していることにコミットしていることの証左であり、経営の質が高いという評価ができるからだと思う。

なのでPERやPBRが機能しないときの、代替指標として機能するのだろうなと感じました。

 

投資 指標 は 本当に 有効 か、 端的 に 言え ば、 使っ て 意味 が ある のかを 判断 する ため に プロ が 統計 分析 を 行う 際 は、 2 割 ポートフォリオ という もの を よく 使い ます。

バックテスティングで使えるので覚えておきたいと思う。

 

逆に中期投資(3年~5年)ではサイクルは気にせずにPER重視の投資をすればよいとのこと、なぜなら各社の利益は平均回帰する傾向にあるから。最初はこの説明に納得がいかなかったが、次の説明で腹におちた。

 

この よう に、 ある メーカー で ヒット 商品 が 出る と、 その 会社 の 売上高 は 増大 し て、 利益 が 大きく ふくらみ ます。 しかし、 他社 も それ に 追随 し た 商品 を 出す ため、 業界 の 競争 が 厳しく なり、 最初 に ヒット 商品 を 生み出し た メーカー の 利益率 も だんだん と 下がっ て いっ て しまい ます。 これ が 業界 内 の 利益 の 平均 回帰性 です。

 

利益の平均回帰がある以上、低PER放置のバリュートラップの可能性は少ないものの、クオリティスクリーニングはしたほうがいいとのこと、条件は下記のとおり。

①  ROE が 高い
②  ROE が 安定 し て いる( 足下 の ROE が 高く て、 将来 も 持続 性 が ある)
③  財務 安定 性 が 高い( 自己資本比率 が 高い)

 

② の ROE の 安定 を 見る ため には、 売上高営業利益率を使い ます。

 

売上高営業利益率が高いということは、知名度の高いブランドを持ってハイマージンで商品を売れること、またサプライヤーとの関係で価格交渉力をもっていることの証拠であるから、自然と利益の安定につながるという論理でした。

 

◆その他 

株式投資をやっている人なら誰でも知っている指標の話かと思いきや、それぞれの指標の長短をあげている名著でした。

 

作成時間:35分