kyuinn’s diary

読書感想を個人的につづるブログです。

1の巻~『マーケット感覚を身につけよう』

 さっそく一冊目の感想文を記載したいと思う。

一冊目は

『マーケット感覚を身につけよう』著:ちきりん

である。

 ◆なぜこの本を選んだか

著者のちきりん氏は、ネット界隈では有名であり、多くのファンを抱えている。僕もそのファンの一人だ。

以前からこの本を読みたいと思っていたのだが、都合がつかずなかなか実現できずにいた。

幸いにも、このたびブログを立ち上げるくらいには時間ができたので、第一号書籍として取り上げることとしたわけである。

 

◆内容についてのざっくり感想

まず序盤で著者は「マーケット感覚」という概念を導入し、ビジネスの場面においては「論理的思考」と同じくらい重要な手法として位置づけている。

特にここ数年、外資コンサルティング会社を中心に「論理的思考」の重要性が解かれており、MECEといった戦略フレームワークも随分知られるようになってきた。

僕自身もそのような本は何冊か読んだことがあったが、この本では「論理的思考」の限界を指摘したうえで、それを補完する考え方として「マーケット感覚」という概念を提起している。

 そういえば以前に、元DeNA社長の南場智子氏の『不格好経営』を読んだときに、
コンサルティング会社で学んだことは、ほとんど役にたたなかった」
といった記載があった気がする。 

不格好経営―チームDeNAの挑戦
 

 

これはコンサルティング会社では、ちきりん氏のいうマーケット感覚を学ぶ機会が欠如していたからなのだろうか。

おそらくそんなことはないのだろうが、コンサルティング会社が得意なフレームワークに当てはまりづらいため、目立った格好で外に出てこないためだろうと思われる。

本書を読んでみれば理解できるが、「マーケット感覚」は訓練によって上達できると著者は記しているものの、連想ゲームのような側面が強い。したがって画一的なフレームワークとするにはなかなか難しいのかもしれない。

 

次に、マーケット感覚がなぜ重要なのかの説明が続く。ここでの論旨において個人的に目新しい話はなかった気がする。詳しくは書かないが、要は「市場化が進んで・・・」ということだ。

一方で枝葉の部分の説明で面白い気づきがあった。著者はマーケット感覚を説明する過程で、日本のマーケットでは、消費市場と貯蓄市場という二つの市場の対立があると説明し、日本の貯蓄市場が消費市場と比較してマーケティング的な意味で大いに成功していると主張している。

そしてその原因を貯蓄市場の会社のマーケティングは

「貯蓄市場に金を引っ張ってくる → 貯蓄市場内で他の金融機関に勝つ」

という二段階の戦略フレームワークがしっかりできているからだと述べている。

自分は現在、貯蓄市場を構成する会社に属しているのだが、上記のようなマーケティング手法は身近すぎてこれまで違和感を持ったことはなかった。

確かに、貯蓄市場に対抗する消費市場がまず消費市場側に金を引っ張ってくるということを目的にキャンペーンを打っているのを見た記憶がない。

でも「先のことなんか心配しなくていいからじゃんじゃんお金を使おう!」のようなキャンペーンは直感的にはかなり難しい気がする。どうオブラートに包んで宣伝するかということが鍵になるのだろうか。

 

その後は、商品の真の価値に気づくことがマーケット感覚につながる第一歩であること、およびマーケット感覚をつけるために必要な五つの原則が説明される。

 

五つの原則として著者は以下を挙げている。

 

・プライシング能力を身につけること

・インセンティブシステムを理解すること

・市場に評価される方法を学ぶ

・失敗と成功の関係を理解する

・市場性の高い環境に身を置く

 

各項目の詳細な説明も割愛するが、もっとも印象にうけたことは「サービスの価値が一物一価」でないことに気づくということだ。これは「1、プライシング能力を身につけること」の中で説明されていた。

先に記載したとおり、商品の真の価値に気づくことがマーケティング感覚を身につけるうえでの第一歩であり、それは人によって異なる。よって最も高く買ってくれるのは誰なのかを考えたうえで、その者に販売していくことの重要性を著者は説いている。

 

そして最後は、マーケット感覚がなければ、いずれ淘汰されますよという説明につながる。ここも主要な論旨で特に異論はなかったが、やはり枝葉の部分で面白い説明があった。
 説明の中で、なぜ羽田空港の国際化が進んだのかというお題があり、その原因は仁川空港の利便化が進んだからだという説明がされていた。仁川空港がアジアのハブ空港として、急成長していることはよく知っていたが、それが羽田空港の国際化の原動力となっていたというのは、初耳であったため非常に興味深かった事実である。

 

◆どう実生活に反映させていくか

とりあえず著者の言うマーケット感覚を身に付ける五箇条、これを実践することがまずは大切であろう。そしてその実践はこのブログの目的の一つでもある。市場性の高いインターネットという環境で自分の文章を読んでもらう。これは自身に有用な機会につながると考えている。

 

一方で、このブログは他人に価値を提供することを主目的にかかれたものではない。誰のためでなく、僕自身の思考整理のためだ。そういう意味では市場とは正面と向き合ったツールではないと言えるだろう。

 

市場に対して価値を発信していくことを主目的としたツールは今後の研究課題としていこうと思う。

 

話を戻して、現在僕のおかれた立場でマーケット感覚に関する考察を行ってみたいと思う。

 

僕はサラリーマンである。
本書の内容に基づき、「価値のやりとり → お金の発生」という構図を考えてみると、おそらく僕の所属する会社および直属の上司が僕の提供する価値の享受者となっているといえるだろう。

 

著者は、近年では嗜好が細分化しており、各々の提供している商品の真の価値を深く考察することが非常に重要であると述べている。
さて僕から価値を受け取っている人は僕の提供しているもののどこに価値を感じているのだろうか。
これは非常に難しいが、僕自身のマーケット価値を判断する上で、有用な考察になるに違いない。

 

労働力としての自分の魅力を、ざっと挙げてみると以下のようになるだろうか。

1、(業界内では強力な)資格ホルダーであること

2、英語が少しできること

3、同一業界に所属するという一貫したキャリアをもち、業界の知識を持ち合わせていること

 

おそらく会社が僕を採用した時点では、上記の三つが価値を感じるポイントであったに違いない。

 

一方で僕としては、下記の二つについても価値提供できているポイントではないかと感じている。

4、管理部門のキャリアがほとんどでありながら、営業部門の攻めの姿勢も支援できるバランス感覚

5、(よっぽど癖のある人でない限り)うまく折り合いをつけながらやっていける調和姿勢

 

さてこれらは評価されているのであろうか。おそらくされてはいるだろうが、いわゆる表向きの人事評価では見えづらい部分である。

そして会社の外から見ただけでは、わかりづらく一緒に働いてみないと察知することができない。

 

このようなマーケットに対して、アピールしづらい能力について、どうやってマーケットに晒していくか。これはおそらく今後の課題になると思われる。

少々長くなったので、本件については、とりあえずここで打ち切って別の機会に再度、考察をしてみたいと思う。

  

◆おわりに

とりあえず記念すべき一冊目の感想を記載したが、いかんせん長い文章を書き慣れていないので大変であった。思考をまとめるのもそうであるが、ブログとして全世界に公開される以上、著作権もケアしながら文章を書かなければならない。このあたりは今後、読書感想文を書いていく上でこなれていくものだと、将来の自分に期待したいと思う。

 

0の巻~なぜ僕がブログを書こうと思ったか

最初のブログ記事なので、なぜ僕がブログ書き始めようと思ったのかその理由を記載したいと思う。

 

ざっと思いつく理由は以下の通りだ。

1、これまで世の中に発信するという体験が乏しかったため。

2、人が読みやすい文章を書けるようになりたいと思ったため。

3、知識のストレージとしてブログを活用したいと思ったため。

 

特に長年にわたり課題と考えてきたのは、3の問題である。

僕はそこそこ読書が好きで(といっても真の読書好きの方には及ばないが)以前は年に100冊くらいを読んでいた時期もあったのだが、それが本当に実生活に役に立っているのかということがずっと気になっていた。

 

読書の効果を実生活に反映するためには、知識を行動へと移すことが何より大切なことであるが、そもそもの問題として読書で得た知識が頭の中に残っているかということも土台として重要である。

 

実際、過去に読んだ本の内容はあまり思い出せない。読書で得た知識が定着していないせいだろう。

 

そこで、知識の定着の場として、ブログを活用したいと考えている。

従ってこのブログのメインの内容は僕の読んだ本のまとめとそれに対する僕の所感だ。

その他にも何か記載するかもしれないが、現在のところ、それは考えていない。

 

ブログを通じてみなさんと意見を交換できれば嬉しいと思うので、気になった点があればコメントを頂けると幸いである。