kyuinn’s diary

読書感想を個人的につづるブログです。

10の巻~『評価経済社会』

今回はダイエット本も出している岡田 斗司夫氏の書籍『評価経済社会』を取り上げます。

 

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

 

   

◆なぜこの本を選んだか

「仕事の正当な報酬とは何か」

これは僕が社会人になってからずっと考えているテーマの一つです。

 

お金が報酬であることは間違いないでしょう。

 

一方で僕の前の所属会社の取締役はこんなことを言ってました。

 

「仕事の報酬は仕事である」(どや顔)

 

ほんとかよ・・・と

 

僕は当時この言葉を人を安く使うための方便としか聞いてませんでした。

ただ一方で僕自身がお金だけで職を選んでいるかというとそんなことはないので、上記の言葉には一理ある気がするのも確かです。

 

この言葉の吟味は非常に難しいです。

面白い仕事を求めてベンチャー企業に行く若者も多くいて、その人たちにとってはこの言葉は間違いなくあてはまっているはず。

一方でブラック企業の役員が同じことを言った場合、人を安くこき使うためだけの方便にしか聞こえない。

 

結局は環境次第ということになりそうだなぁ。
僕の前の所属会社がどちらの環境の会社に属していたのかここで言及することは避けるけど、一個人としてこの二つの環境をちゃんと見極めるようになることは非常に重要なのかなと思います。

 

見極めるうえでの一つの指標として

潜在的な人材の価値が上がっているか」

というのがあるかなと思います。

例えば一時的に給料が安くなったとしてもそのポジションで経験を積めば、後程市場で高く評価される。この場合には、「仕事の報酬は仕事」というのも一理ありそうです。

 

ちなみに先ほどの役員の方は

「仕事は人間性を高めるものにやるためであって、お金は関係ない」

 というスタンスの方だったので、これはいよいよブラ〇ク側なのではないかと・・・

 

おっと、話がそれたのでここで戻すと、要するに潜在的な人材価値が上がっているかが重要なのです。なのでこれを図る尺度をもっていればより明確に判断ができると考えまして、「評価経済」という言葉に着目しました。

 

少し不自由さはあるものの、その気になれば貨幣に変換できる「評価」。これに対する自分の考え方を固めておくことがこれから先の人生に役に立つのではないかと思ったのです。

 

◆本の感想および今後の実践について

先に結論を書きますが、この本はいままで取り上げた本の中で最もどうしようもない本です。全く説得力がありません。著者の薄弱な考え(妄想)がひたひた聞かされているだけの気がしてなりませんでした。

 

その原因なのですが、著者は下記のように論理を展開しようとしています。

1.今の若者は・・・である。

2.これはパラダイムシフトの前触れだ。過去のパラダイムシフトも似たような流れで発生した。

 

この1部分が全く心に響いてこないのです。少なくとも僕の抱いている若者像と全く違う。当然この著者は自分の主張を裏付けるような統計資料などは全く持ち出してきません。これでは異世界の話を聞かされているような気にしかなりません。

そのせいで2の部分の言及についても全く真実味がないです。こちらは史実ですので、もしかしたら著者の言っていることが本当なのかもしれませんが、1が胡散臭いせいでここも同じく胡散臭くなちゃってます。

うーん非常に残念ですね。

 

ただピンポイントで考えさせられる点が何点かあったので、そこに対してコメントを付していこうかなと思います。

 

あえて言ってしまえば「自由洗脳競争社会」と言い換えられるかもしれません

 

これは著者が現在のネット社会を表した言葉で、要するに

いままでは情報の伝達チャネルのほとんどがマスメディアに独占されていたけど、いまは個人が多くのことを発信できる時代になったよね。洗脳できる他者を増やせる個人が利益を得ることができるようになったよね。

ということかなと。これには大いにagreeです。有名なブロガーさんとかは正にそうですよね。

 

合理的な判断を下すためにはその根拠となる知識が必要になります。が、これだけ社会の構成要素(情報・学問・技術など)が高度になり、かつ細分化されてしまうと、それを全部理解して自分で判断しろというのはほぼ不可能です。

 

これから重宝されるのは情報の「整理屋」です。情報とそれについての膨大な解釈が氾濫する中、それを手際よくまとめ「情報+解釈」をパッケージで提供できる人間が求められ、評価されることになるでしょう。

 

インターネットを通じて各個人が一時情報に触れることができるようになったので、これまで中間の橋渡しをしていた専門家は淘汰されるのではないか・・・いやそんなことはなくてニーズはいままでとあまり変わってません。結局、一時情報を素人が見たところで判断できないんで。

ただ「専門知識をいかに簡単に素人の方に向けて説明できるのか」
一時情報に素人の人が触れられるようになった今では、この能力へのニーズはより高まっている気がします。

(一日も早く水〇水の効能の無さを皆さんにわかりやすく説明する専門家が現れることを願います)

 

◆その他

結局僕が当初知りたかった信用のやり取りについて得られる知見はあんまりなかったですね。もう一冊どこかで関連書籍を買って読みたいと思います。