kyuinn’s diary

読書感想を個人的につづるブログです。

2の巻~『マンガでわかる線形代数』

一週間に一記事を目標としているので、2冊目の感想文を書こうと思う。
今週は『マンガでわかる線形代数』作者:高橋信、井上いろはトレンドプロ
である。 

マンガでわかる線形代数

マンガでわかる線形代数

 

 

 ◆なぜこの本を選んだか

線形代数
ずっとこの言葉がひっかかっていた。この学問は何を目指しているのか?ひたすら行列を解くだけじゃないか?そもそも線形ってなんだ?

 

 僕の大学での専攻は法律であって線形代数ではない。ただ教養教科として受講はしていた。数学は嫌いではなかったし、講義のおかげで行列の計算は問題なくこなせるようになったのだが、単なる計算演習を超えた複雑な問題を解くといったことはした記憶がない。なので、全く興味が持てないまま大学時代を終えることになった

 

その後、社会人になり、数式が多く登場する書籍を読むようになった。そのような書物の中には行列やベクトルといった表現が出てくることがある。

 

そのような中で、線形代数をもう一度基礎から学びなおさないとまずいなという思いを持つようになった。

 

ということで、今回はこれまでのもやもやを解決すべく、基礎的なこの本を選択することにしたわけである。

 

◆内容についてのざっくり感想

結論として、線形代数が実務的に役に立つケースは少ないらしい。 

一方で、線形代数とは「n次元のものをm次元に橋渡しする学問」であるという説明がなされていた。コンピュータグラフィックにおける行列の利用を具体例として扱っており、非常に理解がしやすかった。

 

この本の価値はどちらかと言えば、線形代数が実生活で役立つか否かという結論より、その過程に出てくる用語や概念の説明にあるといえるだろう。今回、私が新たに学習した内容(もしくは以前学習したかもしれないが忘れていたもの)は下記のとおりである。

 

◎集合・写像関係

【元】

→集合を構成する個々のもの。要素と呼ぶのは知っていたが、元とも言うんですね。

 

【X={n|n=1,2,3,4,5}】

→集合を表す記法。
ちなみにウィキペディアによると下記↓のような表現もあるらしい。

 

{x in X mid Q(x)}
これは、xが集合Xの元であり、かつ条件Q(x)を満たす集合らしい・・・ややこしい。
微分などもそうだと思うんだが、難しい数学になるほど記法が何通りも許されるようになっていて、初学者の壁になっていると思うのは僕だけだろうか。

写像

→集合Xを集合Yに変換するときの規則

 

【像】

写像により変換された後の数

 

【値域】

→特定の集合もしくは写像が取りうる範囲。

 

【定義域】

→特定の集合が取りうる値の範囲。特定の集合の値の範囲を表現するときには、値域と定義域両方の言葉を用いることがあるらしい?が、特定の写像fにより生成された像の値の範囲に言及する場合、それを定義域とは言わないらしい。その場合は、あくまで値域という。
よって、写像fにより、集合Xの元が集合Yの元に変換される場合、写像fの値域と集合Yの定義域が一致するとは限らない。

 

全射

写像fの値域が、像が属する集合Yの定義域と等しい場合、写像fを全射という。

 

単射

→集合Xの異なる元を写像fにより変換した場合、どの像の値も異なっていれば、写像fを単射という。

 

全単射

全射かつ単射を満たす写像のこと。この場合、写像fは逆写像をもつ。

 

◎行列

ここは既知のものがほとんどであったので割愛

 

◎ベクトル

僕がよく理解できていないだけなのかもしれないが、ベクトルという言葉も場面によって、いろいろな定義がされているような気がする。方向と大きさをもった量と解釈することもあれば、単純に行または列が1である行列を呼ぶときにも使われている。

以下はこの書籍の中でなされていた定義付け。

 

【Rn】

→n次元ベクトル(n×1行列)の集合。列ベクトルのみにRnが使われるような記載だったが、行ベクトルの集合はこのような記号で定義しないのだろうか。

 

【線形独立、線形従属】

→m種類のn次元ベクトルをそれぞれ任意にスカラー倍し、その和をもって0ベクトルを表現しようとした時に、スカラーの値の組み合わせが一通りしか存在しない場合、そのm種類のベクトルを線形独立であるという。そうでない場合は、線形従属。

 

【部分空間】

→Rmの部分集合であるWにおいて、
「1、Wの任意の元をスカラー倍したものもWの元である」
「2、Wの任意の元の和もWの元である」
の二つが満たされる場合に、WはRmの部分空間である。

 

【基底】

→部分空間Wのすべての元がn種類の線形独立なベクトルで表現できる場合、そのn種類のベクトルを部分空間Wの基底という。そしてnのことを部分空間Wの次元という。

 

【線形写像

→RnからRmへの写像において、
「1、Rnの任意の元の和の写像が、その任意の元をそれぞれ写像したのちに和をとったものと等しいこと」
「2、Rnの任意の元のスカラー倍の写像が、その任意の元の写像後のスカラー倍に等しいこと」

この二つが満たされる時、それを線形写像であるという。

 

固有値固有ベクトル

→Rnをn次正方行列でRnに写像する場合に、像が変換前のベクトルのスカラー倍となることがある。その場合に、そのスカラー固有値といい、変換前のベクトルを固有ベクトルという。

 

◆どう実生活に反映させていくか

内容が抽象的すぎて直接的に実生活に反映していくのは難しいだろう。一方で、各種数学記号・用語を整理できたのはよかった。

これからは数学関係の本を読む場面でも、いままでより容易に読むことができるようになるのではないかと期待しているが、こればかりは読んでみないとわからない。

 

◆その他

今回はまったく抽象的な話で用語列挙集みたいな感想になってしまった。過去に読んだ書籍の中で今回学んだ内容が生かせそうなものがあるので、改めてその場面で取り上げてみて、体得の度合を測りたいと思う。